2014年ももう終わり。1年を振り返ってみると、研究広報担当者としてはやはりSTAPの件が非常に大きかった1年と言えるでしょう。世間でこれほど科学広報・研究広報のことが話題になったことはこれまでなかったような気もするし、僕自身としてもいろいろ考えた1年でした。人物に光を当てる広報のやり方の是非、論文に虚偽があった場合の広報担当の動き方や限界など。前のエントリはハフィントンポスト日本版にも掲載していただきました。12月26日の調査委員会報告で論文についてはほぼ決着がついたものと思いますが、氏の処遇など理解できない面もありますし、来年もまだしばらく注視していくことになると思います。
僕のことを振り返ってみると、今年はアルマ望遠鏡広報担当としてチリへの渡航が3回(NHKコズミックフロントの撮影対応、テレビ東京 世界で働くお父さん6の撮影対応、最新の天文学を普及するためのワークショップ対応)。世界で働くお父さんはお父さん本人には企画を知らせずに子供が訪問するので、準備しているこちら側もばれないようにピリピリしていました。無事にドッキリが成功して一安心。最新の天文学を普及するためのワークショップでは、日本のプラネタリウム・科学館関係者を引き連れてアルマを訪問しました。これをきっかけにたくさんの施設でアルマの展示やプラネタリウムが公開されるのを楽しみにしています。
一般講演は今年は22回。講演にお越しいただいた方、企画いただいた方、ありがとうございました。回数としては2013年より10回減りました。22回のうち7回が朝日カルチャーセンター立川での講座なので、もう少しいろんなところで話す機会をつくれたらいいかなと思います。ほとんど東京近郊なので、地方講演もやりたいですね。アルマの知名度はまだまだなので、これからも講演は力を入れたいです。
プレスリリースでは、なんといっても『アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成』でしょうか。あの画像には僕自身もびっくり。こういう画像を出すために30年もかけて諸先輩方がプロジェクトを推進してきたわけですが、ホントにこんな画像が出るなんて、という印象。ウェブページの「公開」ボタンを押す手が震えるプレスリリースは久しぶりでした。
それから、前任者の異動に伴い、12月1日から臨時で国立天文台の広報室長を務めることになりました。最初に挙げたSTAPの件を考えても責任は重大ですが、アルマ望遠鏡広報ともども信念に沿って力を尽くしたいと思います。来年もどうぞよろしく。